童話×水彩画「ゆきのひのドーナッツ」かわいいくまを描きました。おばあちゃんがつくってくれたはちみつドーナッツを持って帰る途中、こぐまのきょうだいが出会ったのは・・・
童話×水彩画「ゆきのひのドーナッツ」
「ゆきのひのドーナッツ」SumiyoⒸ2019
「ゆきのひのドーナッツ」文 Sumiyo
まんまるの ボールみたいに
ふとった おおきな くろぶたが
きの かげから くまの きょうだいを
みつめています
ねらっているのは
くまが もっている
おいしそうな はちみつドーナッツ
「みるからに だましやすそうな くまだな」
くろぶたは ふふん、
と はなを ならしました
くろぶたは
ふとった からだを
ゆらしながら
くまたちに ちかづいて いいました
「わたくし もう なんにちも
ごはんを たべていませんで
おなかは ペコペコ
こんなに ガリガリに やせてしまったので
ございます
たすけると おもって
どうか そのドーナッツを
ぜんぶ わたくしに ちょうだい できませんか」
せなかを まるめ いっしょうけんめい
でっぱった おなかを ひっこめて
ほそい こえで いいました
ガリガリって・・・どこが?
どうみても、まるまる よく ふとっています
くまの きょうだいは
くろぶたの うそに
ちょっと あきれました
うそつきの くろぶたのことは
このあたりでは ゆうめいで
くろぶたは いつも ひとりぼっちでした
でも ちいさな いもうとが
「みためは ガリガリ、ではないけど、
おなか ペコペコなのは
もしかすると ほんとうかも しれないよ」
というので
くまの おにいちゃんは しかたなく
「ドーナッツ、どうぞ」
ひとつ くろぶたに さしだしました。
「これは、これは、ごしんせつに どうもどうも」
くろぶたは にやりと わらって
もっていた おおきな かばんに
いれようとしました
「えっ、もってかえるの?」
やはり おなかペコペコ ではなさそうです
かばんは なにが はいっているのか
ぱんぱんに ふくれていて おもそうでした
よいしょ、と
ふたを あけたとき くろぶたは
にもつの おもみで ふらついて かばんは
ゆきの うえに ひっくり かえりました
「あっ、しまった」
なかみが ゆきの うえに いっせいに
ごろごろ ころがり でました
キャンディ、クッキー、ふらんすぱん、ピザやチョコ
バームクーヘンに、おまんじゅうも ありました
うそをついて あつめた たべものばかりでした
おなか ペコペコも ガリガリも
うそだよーん と
じぶんで いったような ものです
くろぶたは ゆきで べちゃべちゃに
なった たべものを
くやしそうに みつめました
「よかったら・・・これ たべなよ」
くまの おにいちゃんが もっていた ドーナッツを
もうひとつ あげました
くまの いもうとが
「ガリガリになった くろぶたさんなんて、だれも みたくないもんね」
と えがおで いうと
くろぶたは ドーナッツを にぎりしめ
はずかしそうに
ふん、と はなを ならして
にげて いきました
バスケットのなかに
ドーナッツは
まだまだ たくさんあります
「さあ、おうちへ かえって
おいしい おやつの じかんにしよう」
くまの きょうだいは
ガリガリで ペコペコの くろぶたの
ことは たちまち わすれて
ゆきの みちを
たのしく おしゃべりしながら
かえりました。
おわり
「ゆきのひのドーナッツ」SumiyoⒸ2019
やがて孤独な嘘つきの大人たち
こんにちは。
Sumiyoです。
「嘘をついてはいけません」
と保育園で習ったはずなのに
平気で嘘をつく大人が
ちかごろ
増えている気がします。
本人は嘘で得た幸福に
満足するかもしれませんが
だまされたひとは
忘れたい思い出なので
ものすごい速さで
そんな嘘つきがいたことさえ
きれいさっぱり頭の中から
消します。
くろぶたさんも
嫌われ者の嘘つきなので
みんなから
そこにいることさえ忘れられがち。
くろぶたさんが
正直者のくろぶたさんになったとき
はじめて本当のおともだちが
できるんじゃないかなと思います。
水彩画として
空に雪、の表現にトライしてみました。
かわいいくまが描けたので
このキャラで絵本ラフを
作ってみたいなーと思っています。