童話×水彩画「あめちゃんあるで」を描きました。大阪イメージです。動物園から逃げ出したこざるがやってみたかったこととは・・・
童話×水彩画「あめちゃんあるで」
「あめちゃんあるで」SumiyoⒸ2019
「あめちゃんあるで」文 Sumiyo
遠い国から
動物園にきたこざるは
おりのすきまから、
毎日
ふしぎな風景を見ていました。
泣いているこどもがいたら、
おばちゃんたちが、
ポケットからキャンディを出して
「あめちゃんあるで。あげよか」
といいます。
すると
小さい子は泣きやんで
おかあさんたちは、
笑顔になりました。
ここは
「あめちゃんの国なんだ」
と考えたこざるは
それがやってみたくなって
動物園を逃げ出しました。
ゴミ置き場で傘や
自転車を拾いました。
動物園の飼育員さんから
誕生日のたびにもらう
こざる用のキャンディを
ためていたので
それをごっそり持ってきました。
公園に行くと小さい子が
泣いていたので
「あめちゃんあるで」
と緊張しながら
キャンディを差し出しました。
子供はびっくりして
泣き止みましたが
おかあさんは
キャンディを払い落すと
青い顔をして
子供を抱きあげ
逃げていきました。
「あめちゃんあるのに・・・」
何度か
同じことをやってみたのですが
みんなに逃げられました。
こざるはがっかりして
川べりに自転車を止めて
座って夕陽をながめました。
少し離れたところに
おじさんが座っていました。
くたびれた靴をはいていて
とても寂しそうでした。
こざるは近づいて同じように
「あめちゃんあるで」
と、キャンディをさしだすと
うなだれていた
おじさんの顔が
ぱっと明るくなりました。
「はげましてくれてるの?」
こざるが、うんうん、とうなずくと
「けどな、
さるにもらったあめを
よろこぶ人間は少ないと思うで。
さるがあげるんやったらバナナやろ」
というと少し笑いました。
バナナか・・・
こざるがバナナを
思い浮かべていると
おじさんは
「冗談や。なんか元気がでたわ、ありがとう」
といって
立ち上がりました。
こざるも笑顔になって
立ち上がりました。
そのとき
動物園の飼育員さんが
迎えに来ました。
動物園に向かう車の中で
あめちゃんは誰にも
うけとってもらえなかったけれど
おじさんが笑顔になって
よかったな、と
こざるは思いました。
おわり
「あめちゃんあるで」SumiyoⒸ2019
さすべえ・たこやき・づぼらや
こんにちは。
Sumiyoです。
大阪名物「さすべえ」は
人にあたると問題なので
最近では
あまり
見かけないそうですが。
大阪名物をいろいろ入れて
仕上げてみました。