昨年、満開の頃に見た駅の桜を描きました。アクリル画。エッセイも書きました。
「桜の舞う駅で」2024ⒸSumiyo
「桜の舞う駅で」アクリル画
最寄り駅のホームには
春になると、端から端まで
桜が咲きます。
電車は20分に一本で
待ち時間が長い駅ですが
そこがいい。
昨年、満開の頃に見た
駅の桜を描きました。
今年も咲くね。
楽しみだね。
幸福な待ち時間
駅までは、市バスに3つ乗ります。
バスは40分に一本。
歩くと20分。
さて、どうするか。。。
ひなたぼっこをしながら
待ってもいいけれど。
だいたいいつも、
駅まで歩くことになるので
スニーカーを買いました。
しかし
駅に到着してみると、
またしても電車は
20分に一本なので、
やっぱり
しばし待つことになります。
真冬は足先が凍るほど寒く、
祇園祭の頃は朦朧とするほど暑いので
長く待つのはなかなか
厳しいのですが、
春は毎年この待ち時間が大好きです。
なんやったら
一本次の電車にして
わざと40分待ちにして
桜の写真を撮ったり、
ぼんやり山をながめたり
することさえあります。
昨年春、
風の強い春の日にホームで
電車を待っていたら、
音のない静かな待ち時間に
線路には
2匹の蝶が波を描くように
山へ向かって飛んでいきました。
満開を過ぎた桜は花びらが
こぼれるように枝を離れて舞い
花吹雪が、
顔に、コートに、
ぷちぷち当たりました。
それが楽しくてうれしくて
じーっと、
桜の花びらの中に立っていました。
ようやく来た電車に乗ると
外国人の観光客で
いっぱいでしたが
自分だけ桜餅の匂いがするかもよ?
と思ってウキウキしました。
買物に遠出をして
帰りにバスを待つと
すごく遅れることも多いのですが
1時間半なら待てました。
外でスマホはあんまり見ないので
山の頂から広い空を飛ぶ
とんびを見ていたら
退屈はしません。
東京で住んでいた
鷹番から渋谷方面へ行くバスは
5分ごとにきます。
べつに会議に遅刻しそう、とかでないのに
その5分が待てなかった。
8㎝ヒールのブーツの踵を
コツコツ鳴らして
バス停からタクシーによく乗りました。
あれはなんだったのでしょうか。
桜の舞う駅に立ち、
目を閉じて深呼吸をして
春の光を浴びます。
小さい頃から果てしなく
おっとりぼんやりしていた自分。
再び本来の自分の場所へ
世界線を移動したような
不思議な気持ちが
何年もずっと続いています。