「時間が遊ぶ庭で」をアクリル画で描きました。エッセイも書きました。
「時間が遊ぶ庭で」sumiyoⒸ2024
「時間が遊ぶ庭で」アクリル画
「トムは真夜中の庭で」
という小説がとても好き。
美しい物語で
特にラストは感動的です。
きれいなお庭や
花畑を描きたいと
よく思うのですが
外国文学の影響も
あるのかもしれないな。
描きたい色があった
東京の油絵教室は
自分の好きなモチーフで描くため
近所のお花屋さんへよく行った。
目黒の高級住宅地にある
おしゃれなお花屋さんは
外国生まれのバラが
一本350円くらいして
英字新聞で包んでくださる。
東横線で運んでいるだけで
カッコいい。
それを渋谷のアトリエで
描くのだけれど
あんまり楽しくなかった。
なぜか心がウキウキしない。
高価なぶどうや洋ナシを
持って行っても
それは同じで
なんとなく、楽しくなく、
だんだん描きたいものが
なくなってきた。
その後、
引っ越すことに決め、
熊本、岡山、兵庫と旅して
物件を探したけれど
たまたま気に入ったお部屋は
京都の田舎にあった。
空が広く、山も川もある。
家の前の田んぼの端に
赤紫色の野生のコスモスが
群生して風で斜めに揺れていた。
春になると
静かな駅のホームから
桜吹雪が空へ豪快に吹きあがるのが見える。
初夏は誰のものでもない紫陽花が
小川の脇に咲き乱れる。
鮮やかな色にハッとして、
美しい色にドキドキすることが
いっぱいあり、
心が動く。
きのう窓を開けたら
山のほうから
早い春の甘い匂いがした。
とても幸せな気持ちがして
急いで紅茶を入れ、
クラシック音楽を流し、
それから、
お花の絵を上手に描きたいと思った。
いつのまにか、
平均年齢80歳の
カルチャーセンターの水彩画入門講座に
通っていたあの頃の
絵を描くウキウキ感を
取り戻していたのでありました。